会社解散~清算の流れ
株式会社の解散・清算手続の流れ(特別清算でない場合)は以下のとおりです。
1.解散決議
代表取締役が株主総会を招集して、解散の決議をします。
この決議は、「特別決議」によらなければなりません。
(特別決議=議決権の過半数を有する株主が出席し、かつ議決権の2/3以上の多数で決する決議(会社法471条3号、309条1項11号))
↓
・定款に清算人の定めなし → 取締役が清算人になります(会社法478条1項1号)
・定款に清算人の定めあり → 定款に定める者が清算人になります(会社法478条1項2号)
・清算人を別途定める場合には、この総会で選任します(会社法478条1項3号)
2.解散登記
解散の日(解散日を明示していない場合は解散決議の日)から2週間以内に解散の登記と清算人選任の登記を同時にします。
〈必要書類〉 株式会社解散・清算人選任登記申請書 申請書別紙(登記すべき事項) 定款 株主総会議事録 清算人の就任承諾書 印鑑届書(清算人の印鑑届です。) 〈登録免許税〉 39,000円(解散登記30,000円+清算人及び代表清算人登記9,000円)
(解散登記後は、税務署等への届出が必要になります。詳しくは「税務上の手続」/社会保険手続をご覧ください。)
3.解散時点における貸借対照表・財産目録の作成
清算人は、解散時点における会社財産の調査を行い、貸借対照表・財産目録を作成・保存します。(会社法492条1項、494条)
(税務上の手続として、解散日の翌日から2月以内に、解散事業年度の確定申告が必要です。詳しくは「税務上の手続」をご覧ください。)
4.貸借対照表・財産目録の承認
清算人は、臨時株主総会を招集して、3で作成した貸借対照表・財産目録の承認を得ます(会社法492条2項・3項)
5.会社債権者保護手続
清算人は、2ヶ月以上の債権申出期間を設定し、以下の会社債権者保護手続を行わねばなりません。
- 債権者に対する債権申出公告(会社法499条1項)
- この手続は法定事項であるため、債権者がいない場合であっても行う必要があります。(官報公告では、債権申出期間を2ヶ月以上に定めること、かつ、期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記することが要求されます。(会社法499条2項))
- 会社が既に把握している債権者に対する個別催告(会社法499条1項)
これら債権申出期間中は、清算会社は債務の弁済をすることはできません。
ただ、公共料金など、弁済しても他の債権者を害するおそれのない債権に関する債務については、裁判所の許可があれば債権申出期間中であっても弁済することができます。
6.会社債権者への弁済
清算人は、5で負債総額を把握した上で、各債権者に対して債務を弁済します。
(清算中の税務上の手続として、清算中の各事業年度終了の日の翌日から2月以内に確定申告が必要です。詳しくは「税務上の手続」をご覧ください。)
7.株主に対する残余財産の分配
債務弁済後も会社に財産があれば、清算人は、株主に対して残余財産を分配します。(会社法504条~506条)
(残余財産分配を終える前に、税務上の手続が必要となります。詳しくは「税務上の手続」)をご覧ください。)
8.決算報告の作成
清算人は、決算報告を作成します。(会社法507条)
9.決算報告の承認
清算人は、臨時株主総会を招集して、8で作成した決算報告の承認を得ます(会社法507条2項・3項)
10.清算結了登記
9の承認を得た日から2週間以内に清算結了の登記をします。(会社法929条1項)
〈必要書類〉 清算結了登記申請書 株主総会議事録 決算報告書 〈登録免許税〉 2000円
11.帳簿資料の保存
10の手続完了の日から10年間、清算人が帳簿資料を保存します。(会社法508条1項)
帳簿資料の保管は、清算人の義務です。清算人以外が保管する場合には、裁判所に対して保管する者の選任を申し立てる必要があります。(会社法508条2項)
(清算結了登記が完了したら、税務署等に清算結了届出書を提出しなければなりません。詳しくは「税務上の手続」)をご覧ください。)
なお、通常の解散・清算手続を行っていたけれども、会社財産を調査したら債務超過の疑いが生じたような場合(会社法510条)や、解散の時点において既に債務超過に陥っている場合には、裁判所が関与する「特別清算」という手続が必要となります。
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